ビタミン(ブログ)に書いた記事のカテゴリーの中の「忘れられない話」は
まさに私にとって忘れてはいけないエピソードなので「雑記帳」に保存しておこうと少しずつ作業中です。





思うんだけど・・


昨日(9月4日)小淵沢にランチに出かけた。
ネットで見つけて「お気に入り」に入っていた店はすぐに見つかった。

その店の話は詳しくは別ページで書くけれど
ご夫婦で営む、気持の良い店。開店と共に入ったので客は私たちのみ。
テラスでランチをいただいて、店を出た。

この後も、もう一件の店に入ったり、飲み物を飲んだりしたけれど
ダンさんが車の中にバッグを置いたままなので、私が支払いをしていた。

そして夕方・・無事、自宅について着替えなどしていると
ダンさんが
「あれ?」とバッグを開けて首をかしげている。

「どうしたの?」

「おかしいな・・財布をこの中に入れてあったと思ったんだけど・・
車の中かな?ちょっと見てくる」
と。

しばらくして
部屋に入ってきて「おかしいな・・ない」と服のポケットやら荷物の中を探す。

「いつ財布出したのだっけ?」

「最初の店のランチは僕が払った」そう言いながら、ダンさんはまだ
部屋中を探し回っている。

そうだったね・・・財布の中に何が入っていたっけ?

現金〇○円と・・キャッシュカードとクレジットカード・・免許証も・・

わぁ・それは拙いよ・・もしも落としたのなら早く手を打たないと。

だけど、その前に一応、最初の店に電話してみたら?

まだ、自分のウッカリで、帰ってきてから部屋のどこかに置いたと思いたくて

アチコチ探しているダンさんに少し急かしながら私は言った。

もしも店に電話して無かったら(多分、無いだろう)

一刻も早くカード会社などに連絡しなければならない。

ダンさんが店に電話を掛けて「今日、そちらで食事した者ですが・・」と。

そしてすぐに

あ!そうですか!申し訳ありません。ありがとうございました」

電話口で頭を下げている。

そのあとも、「はい・・・はい・・あ、そうですか・・申し訳ありません。

はい・・はい・・ありがとうございます。本当にスイマセンでした」と恐縮した様子で話している。

財布が無事だったことは、勿論私にもわかった。

電話に出たのはお店の奥さんで、

財布を預かっていたけれど、夕方になっても持ち主から連絡が無いので

警察に、ご主人が届けたという。

警察署の名前と係員の名前を教えてもらって、私たちはとにかく一安心で

次の日、再び、小淵沢に向かった。

身分証明書(免許証はないから保険証)と印鑑と、それにお店へのお礼の品を持って。

お財布が無事だったことがとにかく嬉しかった。

その時は、それだけで嬉しかった。運がいいなと思っていた。





警察署は日曜日だけあってヒッソリしていた。

「なんですか?」ちょっと強面(?)の髭の生えた私服の大男さんがカウンターに寄ってきた。

(二課・・暴力団相手の刑事さん?)

「あの・・遺失物なんですが・・」

「拾ったの?落としたの?」

「いえ・・財布を拾ってくれた人が、こちらに届けてくれたと連絡してくれたので」

なんだか怒られているような感じでの対応だったけれど、

財布の中の免許証と本人の顏が同じなのを確認すると

途端にニコッと「同一人物ね」と顔を崩した。

そして書類の書き方も丁寧に教えてくれて、最後に紙片を読みながら

「えっと・・拾ってくれた人の名前は・・」と読み上げようとしたので

「いえ、これからその方のお店にお礼に行くところです」というと

さっき以上に様相を崩して

「そうですか〜〜♪よくお礼を言ってくださいね」と本当に嬉しそうに言った。


警察署から昨日のお店に向かうまで、山の中の道を10キロ。

ドライブならあっという間だけれど、だけど・・10キロだ。

拾った財布を、店を経営してる人が週末の忙しい時に・・

しかも、拾得物を警察に渡して、はい、ご苦労さまで終わったわけがない・・

さっき、財布を受け取るのに必要な書類の中に、拾得した財布の中身などが

手書きで細かく書かれていたものがあったのを思い出していた。


昨日、来たばかりの店のドアを開ける。

テラスの席にお客が。

店のご主人と奥様は、すぐに私たちと判ってくださった。

「良かったですね〜」恐縮する私たちに二人は暖かかった。

当たり前の事をしただけだから・・と言いながら、どこか遠慮がちに

話してくれたことは・・


財布は店内に落ちていて私たちが店を出てすぐに気が付いたけれど

もう車が出た後。

多分、すぐに気が付いて戻ってくるだろうと思ったそうだ。

でも、随分待っても何の連絡もない。

財布が他にもあって気が付かないのだろうか・・と思い、そのあとの事を考えたそうだ。

なんとか連絡してあげたい。

そして「本当に申し訳なかったのですが・・」と言い添えて

「中を見せていただきました」と・・ほんとうに申し訳なさそうに。


そうしたら、大事なカードや免許証の他に病院の診察券があったので

その病院に、まず連絡をしてくれたそうだ(ダンさんのかかりつけ)

ワケを話したら、電話番号などは教えてもらえなかったけれど、

病院からうちへ連絡してくれると言われたそうだ。

現に留守中、何度も病院から留守電が入っていた。

店のご主人の話はこれだけではなかった。



もしも私たちが財布が無い事に気づき、カード会社や銀行に連絡して

カード使用不可にしてしまうと、

あとからそれを取り消したり再発行したりが

とても面倒だろうと

わざわざカード会社に連絡して、うちが紛失届を出しても手続きをしないように話してくれたそうだ。


カード会社はカード会社で、いろいろ動いてくれたそうだ。


その話を「勝手な事をしたけれど」・・のようなニュアンスで遠慮がちにいうご主人。


そして、夕方になっても持ち主から連絡がないので

大事なものがたくさん入っている財布を、置いておくよりも・・と警察に届けてくれたわけだ。

忙しい最中、警察で書類を書かされたり、きっと時間を費やされたことだと思う・・

(何も仰らなかったけれど。)

聞けば聞くほど、私たちはなんて迷惑を掛けてしまったんだろうと思った。

しかも
財布を開いてしまったことを謝られる。

そんな・・・そんな・・
他人の財布を開けるというストレスを持たせてしまったのは、私たちのせい。


助かりました。本当に・・

ドアの外まで見送ってくださって・・

帰りの車の中で
私たちは、なんとも言えない気持ちになった。

さっき、ご主人が静かに話してくれた、財布が私たちの手元に届くまでの

様々なお二人の行動を反芻していた。


できないよ・・なかなか、そこまでしてくれないよ・・


カード会社にまで・・私たちが慌ててカード失効しないように、
再発行は大変だろうからと・・そんなことまで考えてくれて。

昨日初めて来たお客・・それだけなのに。

その優しさ、思いやり、

他人の立場に立って物を考えてくれる人に会って

私たちは正直、感動していた。

車の中で、正直、感動していた。


「人も・・さ。捨てたもんじゃないよ・・ね」

ダンさんがそういった。

ダンさんの、えらいチョンボで、たくさんの迷惑をお掛けしてしまったけれど

私もちょっとだけ、時間を棒に振ってしまったけれど・・

でも、なんだか気持ちの晴れた一日になりました。

うん

人って、捨てたもんじゃないよ、やっぱり。 




追記
このカフェは「4月のさかな」といいます。
お店紹介は、この記事を書いた後に「ごちそうさま」にUPしました。


                               2010年9月5日付けのブログより転記
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