ビタミン(ブログ)に書いた記事のカテゴリーの中の「忘れられない話」は
まさに私にとって忘れてはいけないエピソードなので「雑記帳」に保存しておこうと少しずつ作業中です。




「無題」



夕べ、友人から電話があった。

約一ヵ月半ぶりの電話だった。

私はその時、お風呂に入っていたが

ダンさんが大慌てで「電話!!○○さんから電話!!!」

携帯をお風呂場まで持ってきた。



私は湯舟に入ったまま、携帯で彼女と話した。

「お久し振り〜、元気?」という決まり文句は言わなかった。

彼女も何も言わず、でもいつもの明るい声で

「(この前は)メールありがとうね」と言って、あとは取り留めの無い普通の会話。

たった数分だったけれど

切ってから、ダンさんがお風呂場に携帯を取りに来た。

「良かったね。○○さん、前と同じ、大きな声で、こっちまで聞こえたよ」

耳をダンボにしていただろうダンさんがしみじみと言った。

うん・・良かった・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



彼女は一ヵ月半前、息子さんを失った。

ある夜、彼女が私に電話を掛けてきて取り留めない馬鹿話をしていた・・その次の朝

息子さんが自宅で亡くなった。

私はそれをニュースで知った。

嫌な予感がしたが、まさかと思っていたけれど・・画面に彼女の家が写った・・


嫌な予感・・

それは・・

彼女は二人の息子さんがいて、その一人が、もう長い年月、体調を崩していた。

彼女や旦那様の心痛は計り知れないけれど、

それでも本当にアッパレなほど元気で明るく過ごしていた。

それが・・


辛くて辛くて・・私は短いメールを彼女に送った。

「友達なのに、何もしてあげられなくてごめん。
今はただ、アナタの事だけ考えています
」と。

彼女の気持ちを考えたら

これ以上、何も言えなかった。


彼女からは返事が返って来なかったけれど

私は彼女の心の中で「時」が過ぎるのをいつまでも待とうと思っていた。

解っているつもりでいた。

彼女の影の理解者だと思っていた。

相談も受けたし、身の上話も受けていた・・わかっている気でいた。







だけど・・

だけど・・

私はなんにもわかっちゃいなかった。







なんと・・・亡くなったのは・・

自死したのは・・この息子さんじゃなかった。

もう一人の息子さんだった!

え?え?
なんで?そんな・・・

私は何を勘違いしていたんだ・・

ニュースでは名前も何も言わなかったので、馬鹿な私は勝手にヒドイ勘違いをしていた。

でも・・その事実を知った私は・・


もうその時の自分の心境も上手く書けない・・

ただただ彼女の身になって考えたら・・・

いやいや・・とても彼女の身になって・・などと

生半可は事は言えないくらい



それはキツイキツイ事実だった。




「なんで息子の悩みを感づいてあげられなかったんだろう」

数日後、友人を介して、彼女達夫婦の思いを聞いた・・

辛くて辛くて・・ただただ辛くて・・でも私はやっぱり

彼女の「時」を待つしか術がなかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして夕べ

彼女から電話があった。

約一ヵ月半ぶりの電話だった。

私はその時、お風呂に入っていたが

ダンさんが大慌てで「電話!!○○さんから電話!!!」

携帯をお風呂場まで持ってきた。

                                                  2008年11月6日

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