藤七温泉 彩雲荘
19年6月下旬

標高1400メートルという、この温泉を知ったのは
随分前のような気がするけれど、その頃は、
まさかこの宿に泊まりたいと思うようになるなんて
想像すらしなかった。
外観、館内、お風呂・・どれをとってもあの頃は選択肢に入らなかった

あの開けっぴろげの混浴露天風呂や
相席の食堂やギシギシなる廊下・・
昔ならNGだったかもなあ。

いろいろ宿に泊まってHPに感想を書きながら
私達はどんな宿が好みで、いい宿と思うのだろう?と時々考える事が有る。
答えは見つからない。
多分、これからも見つけることは無理かもしれない。

あえて言うなら
泊まったその時に、何か心に残る小さな喜びや嬉しさを感じさせてくれた宿・・
それが私達にとって「いい宿」なのかも。

藤七温泉彩雲荘・・
本当に「いい宿」だった。
天気がイマイチハッキリしない中、今日の温泉宿に到着する。
宿というより山小屋の感じ。
車を降りたけれど、どこがフロントかわからないし、第一玄関はどこだ?
このガラス戸は?
中はみやげ物や雑貨が売られている。
ここは違うだろうけど入って聞いてみよう。

レジで「きょう、ここに泊まるものですが・・」
すると「いらっしゃいませ」と。

このレジがフロントだった。
レジで記帳して、
スリッパに履き替えて古い廊下を案内される。

案内人は仲居さんとかそういう人を想像しちゃ駄目。
オジサン。
でも荷物を持ってくれたのは、なんとなく想定外。
途中で休み処のようなエリアがあってテレビが置いてあった。
テレビは部屋には無いし、このテレビで写るのも
衛星放送のみ。
ここは標高1400メートルの山小屋。
携帯も使えないし、電気も自家発電のみ。

そう、こういう宿の温泉こそ秘湯。
そう思うと、いろんな不便さがグチグチじゃなくて
ワクワクに思えてくる。

自家発電所
部屋への廊下は意外と綺麗。
ここって「新館」の部類なのかしらん。
廊下のずっと奥の37番が今回の部屋。
鍵を開けてくれて中に入るが
おじさんの案内はそこまで。
部屋は二種類(トイレなし、トイレ付き)のうち
値段の高いほうをお願いしたので
もう少し広いかなと思っていたけど
なんの変哲も無い和室だった。6畳だったかな。
アメニティも最小限。
少し前なら、カミさん、不機嫌になっていたに違いない。
でも最近は心が広くなったのか
いろいろ体験して慣れたのか
かなりの事がないと文句を言わなくなって
ダンさんは少しホッとしている。
先にも書いたけれど
この部屋はトイレ付き。

本当にさもない部屋に
トイレと洗面所が付いてるというだけなんだけれど

でもそれだけでもじゅうぶん満足。
部屋はさもないけれど
眺めはいいよ〜
露天風呂が、本当によく見える(笑)

あちこちに点在している混浴露天風呂。
見ているとすぐにでも入りたくなる。
と、いうわけで、
浴衣に着替えてお風呂の探検に行った二人。
お風呂の詳しい様子は
温泉編に画像を満載しています。
廊下の途中に有る炊事場。
ここは湯治客もいるのだね。

共同洗面所もこの通り。
トイレ洗面つきの部屋の方が使いやすいのは確かだけれど
こんな山奥の秘湯に来たら
部屋に何もなくて「まあいいか」という気持ちになってしまう。

目の前で天麩羅を揚げてくれます
温泉三昧した後は食事。

大広間でいただくのだけれど
これがまたおかしい。
一応部屋ごとのテーブルにはなってるのだけれど
私達は小人数のためか、同じテーブルに
ひとり旅の男性が相席となっていた。

夕食に相席は、そりゃないでしょう!
と思ったけれど・・

食事が始まってその男性も我々もビールを注文。
それぞれに飲み始めたんだけど。
カミさん、そっとその男性の様子を伺う。
なんとなく私達の会話を聞いていて心で反応してるみたい。
こころなしか、チラチラと目も合うし・・

こりゃ、「ひとり旅だから放っておいてくれ」っていう
タイプの人じゃないな


そう確信してさりげなく声を掛ける。
案の定、すっと会話に入ってきてくれて
あとはもう3人で楽しい宴会。
登山しながら植物をカメラで撮るのが楽しみな人だけれど
温泉もアチコチ行かれていてしかも鄙びた温泉が多くて
お互いに楽しく情報交換できた。

感性もちょっと似ていて
「鶴の湯は泊まりたいと思わなかった」というから
「でしょ、でしょ。わかる〜!その気持ち。
でも泊まったら意外や意外。良かったんですよ〜」とか。
この宿も初めてではないらしく
「きょうは混んでるなあ」と周囲を見渡している。
そう、混んでいた。
食堂はこんな感じで盛り上がって。

私達だけじゃなくて
他のテーブルでも相席の人と話し込む姿が。
あ、この画面はね。
この宿の人が食事中に
東北弁でこの温泉郷を
面白おかしく紹介するパフォーマンス。
有名なようです。
初めて聞く私達は、楽しくて食事の手を休めて
聞き入ってしまったけれど
他の人たち、定連さんだっているだろうに
みんな初めて聞くような顔して笑っていた。
相席の人とビールを交わしながらの夕食は
思いの外、楽しいヒトトキとなった。
目の前で揚げてくれた天麩羅の他は
特に記憶に残るものはなかったけれど
こういう「出会い」のあった食事は、忘れられない「美味しさ」となった。

宿の人に軽く促されるまで、時間の経つのも忘れていた。
朝食も同じ広間の同じ場所。
でも昨日の男性客の場所には配膳がなかった。

そういえば、昨日の満席に比べて
歯抜けのように配膳されていないテーブルが多い。

みな、登山の客で早朝から出発した事を後から知った。
我々は登山も観光も何もしない。
ただ温泉に入るだけ。
チェックイン時間直後に入り
チェックアウトぎりぎりまで宿で過ごす。
それが最高の贅沢な時間の過ごし方だと思っている。

彩雲荘・・籐七温泉
こんな山小屋・・こんな古ぼけた宿が
今、ふたりの心の中ではピカピカに光っている。

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