無言館

(戦没画学生慰霊美術館)
私達は若い頃から美術館が好きです。
でもあまりこのHPで紹介はしていませんね。
それは、殆どが「撮影禁止」で私達の感動した作品そのものが紹介できないからでした。

この「無言館」も勿論「館内撮影禁止」です。
ですから、画像もないし、何より思いも伝えることがとても難しいのです。
でも、敢えて紹介させてください。
こういう美術館が存在するということ。
そして「美術館は苦手」という方にも
此処は美術館という意識を持たないで是非訪れて欲しいと願いを込めて。
無言館って?
「戦没画学生慰霊美術館」とあるように、
美術学校で、あるいは独学で美術を学んでいたが
若くして戦没した画学生の遺作・遺品を集めた美術館。
館長 窪島誠一郎。(父親は作家水上勉)
彼は先にも「信濃デッサン館」(若くしてこの世を去った画家達の作品などを展示)を
建てたが、画家野見山暁治さんに賛同して、画学生の遺族らから遺作などを集める。
平成9年に「信濃デッサン館」の分館として「無言館」設立。
上田市は別所温泉の近くの「塩田平」という地に
無言館はあります。
生活道路から山道に入るのですが
今は「観光スポット」になっているので
標識も至る所にありますし駐車場もあります。
観光スポットといっても、
予約無しの団体(20名以上)は受け付けないなど、
落ち着いて観る配慮がなされています。
狭い山道を少し行くと、その丘の頂に
コンクリート造りの教会のような建物が見えてきます。

             無言館です。

入り口には「無言館」と。
独特の雰囲気。
正面に窓はなく、入り口も一人ずつしか入れない
普通の木のドア。
受付はありません。
すなわち入場料も設定していません。
帰りに出口で「協力金」という形で
300円〜500円を払うシステムです。
「高い声での私語は慎んでください」という趣旨のことが
書かれています。
美術館は何処もそうだけれど、
此処は特に私語が出る雰囲気ではありません。
館内もコンクリートの壁で、そこに沢山の絵が飾られています。
どれも今まで美術館で観た絵と違い、保存状態が悪く、
中には絵の具が酷く剥げ落ちた物もあります。
画家別に展示されていますが、一人一人の作品数はごくわずかです。
作品の下に簡単な作者の説明があります。

出身地。出身美術校。戦死した場所・・
それに最後に必ず戦死した年齢が記されてあります。
「享年27歳」「享年23歳」「享年29歳」・・最年長でも30代になったばかり。

ある裸婦の絵の下に次のような事が書いてありました。
「戦地に行くことが決まって、初めて妻の裸体を描いた。
この続きは必ず、帰ってきて描くから・・
そう約束して戦地に赴いた彼は、
しかし2度と帰っては来なかった。」
館内の中央にはガラスのショーケースがあり、
そこには様々な遺品が並んでいます。

使い込んだ絵筆。色あせた写真。
戦地から母へ宛てた手紙。
戦地での様子を描いたスケッチブックのような物。
幼い我が子にカタカナだけで
「お父さんは元気だから君も頑張って」
そう明るく書いた手紙。
招集令状。

それから・・戦死報告。

建物は上から見ると十字架の形をしている。

建物を出るとテラスが・・コーヒーなども飲める。
塩田平を一望しながら、今観た作品へ思いを馳せる。
ある戦死した画学生の父親である画家は
戦後、一切息子の事は口にしなかったそうです。
そして、晩年
一言「悔しい・・」と呟いたそうです。
館内の灯りを抑えた中で、作品や遺作を観ている人達・・
静かに静かに、でも食い入るように観ています。

時々、咳払いが・・込み上げる感情を抑えるための咳払いのようにも聞こえます。
いつのまにか、すすり泣きをしている方もいるそうです。
私も初めて訪れたときは・・本当に困りました。
無言館のすぐ裏に、同じコンクリートの建物があります。
これは「時の庫(ときのくら)」と名付けられた施設で、私達は入れません。
こんな立て札がありました。
この美術館にある作品の芸術的価値はわかりません。
でも、たとえ、背景を知った上でという条件のもとでも、
人の心に強く訴える作品が価値のある作品だったら
熱いものが胸に溢れてくる作品を価値のある作品と言うなら・・

私は今までこれだけの作品に出会った事はありません。
                                (15年7月下旬訪問)
トップへ 長野県上田市大字古安曽山王山3462
電話:0268−37−1650
鑑賞料・・・随意制(一人300円から500円)

開館時間:10時〜17時入館まで(年中無休)
 
平成18年に第二展示館が出来
入館料が高校生以上1000円中学生以下無料に
改定されました。